「広告をつくる」という言葉の多くは、モチーフとなる商品をメディアというカンヴァスに上手に描くことを意味している。一方で広告は描写を装った創造であることも多い。男性用便器をひっくり返して「Fontaine」と名付けるとアートになったように、美しいフォルクスワーゲンビートルの写真に「Lemon.」と言葉を添えると不良品になる。ファベーラの街の壁をペインティングすることでスラムの街が再生 されたように、制汗剤のシーブリーズのキャップを交換して使い切ると二人の願い が叶う。世界最初の広告は、古代エジプトでパピルスに書かれた「 街で一番の機織屋が逃げた奴隷探しを依頼する」 ものであったと言われている。しかし、この広告が読まれた瞬間に奴隷に逃げられた機織屋は「街で一番」 になった。 広告は爆誕した瞬間から描写を装って価値を創り出していた。広告史をことば(コピーライティング) による価値創造の歴史として実務経験とともにリフレクションしていく。

2023年2月24日(金) 19:00-20:30
ZOOMにて無料配信

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https://dialogue005.peatix.com

【登壇者】

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弦間一雄(大阪経済大学教授)
京都大学経済学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。専門はブランディング・デザインの研究と、そのクリエイティブの実践。日本流行語大賞金賞、日経広告賞、ACC賞などを受賞。共著書に『経営は哲学なり』他。博報堂にてコピーライターとクリエイティブディレクター、 多摩美術大学講師、中央大学専門職大学院特任教授などを経て、 2013年より現職。 2021年より京都大学経営管理大学院研究員を兼務し、京都クリエイティブ・アッサンブラージュに参画。

【聞き手】

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山内 裕 (京都大学経営管理大学院教授)
京都大学工学部情報工学卒業、京都大学情報学修士、UCLA Anderson Schoolにて経営学博士(Ph.D. in Management)。 Xerox Palo Alto Research Center 研究員を経て、京都大学経営管理大学院に着任。鮨屋、フレンチ、アパレルなどのサービスをはじめ、デザインやアートなどを含めた文化の経営学を研究している。主な著書には、『組織・コミュニティデザイン』(共立出版、共著)、『「闘争」としてのサービスー顧客インタラクションの研究』(中央経済社)など。2021年度から文部科学省価値創造人材育成拠点形成事業として「京都クリエイティブ・アッサンブラージュ」を立ち上げる。
https://yamauchi.net