本パートは、スペキュラティヴ・デザインと称されるデザインの考え方をもとに、新たな視点を加えた独自の方法論を展開する。未来思索的なデザインにより多くの人を巻き込むこと、これまで見過ごされてきた非人間を含むステークホルダーを考慮にいれること、そしてそれらの連関としての新たな世界観に基づくビジネスの生態系を検討すること、と3つのセッションから構成される本パートは、見過ごされ、放擲され、問題視されなかった存在に気づき、それらを包摂する世界観の獲得と、その表現をすることを目的とする。
スペキュラティヴ・デザインや多元世界、システミックデザインなどに関連する理論や実例に触れつつ、自分自身が未来シナリオをつくり、そしてその世界を体験し「いま・ここ」ではない社会を生きる感覚を養う。自らがその世界に没入し看過された課題を発見するための手法としてLARPを採用することで、従来のプロトタイピングを乗り越えて「いま・ここ」ではない世界観を体験し、その体験を省察することで新たな事業への視座を獲得する。
人新世における事業やデザインを捉え直すには、従来の市場主義からはこぼれ落ちる、過去や未来といった時間軸に存在する祖先や未来世代、自然や生き物といった非人間などの遠い他者を念頭においた生態系に気づき、配慮をすることが求められる。そのための手法として拡張ステークホルダーマップなどを作成し、非人間の参与を含む複雑な利害関係者の視点から、新規事業の可能性を検討できる視座を獲得する。
自らの事業領域を対象に、批評的・未来思索的・包括的なビジネス・エコロジーを立案し発表する。ビジネス・エコロジーはミッション・エコノミーと共振しながら、片利的なプロフィットではなく、より互恵的なベネフィットを生み出す構造を非人間のアクターも含めたビジネス・エコシステムのマッピングによって示される。このセッションによって、Session 1およびSession 2で獲得された視座を具体的な事業活動へと結節させることを狙いとする。
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