アートがビジネスの場でも注目を集めている。アートというと、 私たちは天才が社会から離れて思索して制作している近代のイメー ジに囚われている。15- 17世紀の前近代のアートに立ち戻ることで、 アートをより広い視野から議論していきたい。そもそも「芸術」 は存在しなかった。 絵師がどのようにアーティストになっていったのか。 私たちの知る巨匠たちはクライアントからの注文で仕事をしていた が、クライアントとアーティストの関係はどのようだったのか。 そしてイノベーションはどのように生まれたのか。 今こそ考えなければならないアートの意味を解き明かす。

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登壇者
平川 佳世(京都大学大学院文学研究科/教授)
京都大学文学部考古学専修および美学美術史学専修卒業、 同大学院美学美術史学専修を研究指導認定退学後、博士(文学) を取得。近畿大学文芸学部准教授等を経て、2017年より現職。 専門は、北方ルネサンス美術。主な著書に、「 前近代の美術と社会—工房、組合、市場、政治」(『 西洋美術研究』20「美術史学の方法と実践」、三元社、2020年所収)、The Pictorialization of Dürer’s Drawings in Northern Europe in the Sixteenth and Seventeenth Centuries(Peter Lang, Bern, 2009)などがある。近年は、特に、16, 17世紀のヨーロッパで流行した特殊素材に描かれた絵画作品に注目して、研究を進めている。

聞き手
山内 裕 (京都大学経営管理大学院教授)
京都大学工学部情報工学卒業、京都大学情報学修士、UCLA Anderson Schoolにて経営学博士(Ph.D. in Management)。 Xerox Palo Alto Research Center 研究員を経て、京都大学経営管理大学院に着任。鮨屋、フレンチ、アパレルなどのサービスをはじめ、デザインやアートなどを含めた文化の経営学を研究している。主な著書には、『組織・コミュニティデザイン』(共立出版、共著)、『「闘争」としてのサービスー顧客インタラクションの研究』(中央経済社)など。2021年度から文部科学省価値創造人材育成拠点形成事業として「京都クリエイティブ・アッサンブラージュ」を立ち上げる。