LGBTQの人々が社会において自らの居場所を作り出すために、どのような表現が可能だろうか。レズビアンやゲイなど自らのカテゴリーをもとに対等な関係を求めるアイデンティティに関する政治は、分断がさらに強固になる社会において行き詰まりを見せているので はないか。「フツー」の生活プロジェクトは、レズビアンやゲイの生活を、素人である「フツー」の人々が、マンガという「フツー」の媒体で、奇妙なもの (クィア) ではない「フツー」なものとして表現していく。それは、社会から不完全なものとして排除されがちなシングルマザーの「 フツー」の生活と並べられ、われわれ全員が経験してきた奇妙なコロナ生活、あるいはわれわれ全員が通過した23歳のクィアな生活とも節合さ れる。この「クィア」という世界観、そしてそれを表現するための方法、それが生み出す効果などを議論すると共に、対等な権利を主張する政治構造下における既存のカテゴリーの不安定さを、感性という水準において暴くエステティックス (美学)の力について考える。 <書籍> フツーの生活プロジェクト: クィアでないクィア生活
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